くらし薬膳 〈 薬膳ってなんだろう  其の二 〉

 

すこし前の寒露から霜降の候になり、いよいよ冬の足音が近づいてます。

 

豊富な秋の食材を大いに享受しつつ、自然の恵みに感謝の日々ですね。

自然界の恵みは本当につくづく理にかなっているなぁと思います。

 

例えば新生姜がすこし前から出荷し始めていましたよね。

生姜はいわずもがな、身体を温める作用があります。

そろそろ冬支度の準備をする身体には最適な食材ですね。

 

秋の鮭もそうです。こちらも身体を温める食材の温熱性食物です。

喉を潤してくれる作用のある果物のかりんも、肺や鼻、咽喉の粘膜が乾燥しがちなこの秋の季節にちゃんと実をつけてくれます。

季節の恵みの食材を取り入れることで自然と身体が整い養われる。

人の身体は食べ物でできているんだ。という事がつくづく身にしみます。

 

今から約二千年前以上に書かれた中国最初の医学書であり、中医学の理論を確立した「黄帝内経」(こうていだいけい)という書物があります。

そこには、人体のしくみ、人は何故病気になるのか、それをどうしたら治せるのか、そしてそもそも病にかからないためにはどうしたらいいのか等、黄帝と師の岐伯氏との問答形式で記された書で、薬膳を語るうえでは礎となる名書です。

 

その中には白と黒の勾玉のような形を組み合わせた「陰陽太極図」や「五行学説」についても語られています。

(のちのちこちらはくわしく触れてみたいと思います)

 

この陰陽五行学説を含む中医学理論に基づき料理され、病気の予防や回復、保健を目的にしたおいしく食べやすく作られた食事が薬膳で、必ずしも生薬を使ったものだけではなく、日々わたし達が食べている野菜や肉、魚など身近にスーパーで買えるようなすべての食材が含まれています。

日本では、よく「医食同源」という言葉を耳にされると思いますが、中国では「薬食同源」という言葉でいいます。

薬も食べ物も本来自然由来のもの。その理論を駆使し、その人の体調に合わせた料理が薬膳なんですね。

 

お母さんが風邪を引いた子のためにお粥に生姜をすこし入れて食べさせてくれた…のも立派な薬膳だと思います。

つまりはその人のことを考え、食材を組み立て差し出す。

先にいった、「命の薬」ヌチグスイではないでしょうか。

おいしい…と感じるものがその時のからだに必要なもの。

からだに耳を澄ませてみると自分に足りないものがわかってきます。

 

昨日は写真にあるたまたまあった材料で薬膳デザートを作ってみました。

「柿の葛粉パフェ」

柿をピューレにして蜂蜜で甘みを加え、葛粉を入れ練って器に盛り付けて冷やします。

水切りヨーグルト、タピオカを添え、松の実と枸杞子をのせて。

夕食にすこし身体が熱する食材を食べたので、必ず食後にデザートを欲しがる娘に

頂いた柿を自己流アレンジ。

 

柿は寒の食性で清熱、潤肺、止渇の作用があります。

葛粉は涼、解熱生津

ヨーグルトとタピオカは平で中庸に整えます。

 

おいしく、たのしんで食べるのも薬膳ですね。